現在、色々なレンズのカタログ欄を見ると、
絞り:「円形絞り」
という記載をよく見かけます。
これは、レンズの開放値から絞り始めた時に、その羽根の形状がどうなるかを表している訳ですが、厳密に言えば、「円形絞り」以外の絞り羽根というのは、最近は非常に少なくなってきています。
このあたりの解説は円形絞りの元祖であるSONY(Minolta)のサイトが詳しいです。
αレンズのテクノロジー & レンズに関する基礎知識 | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
そこで、今回は絞り羽根の形状が違う2本のレンズを使って、ボケの形がどう変わっていくのかを実験したいと思います。
今回実験で使用するのは、Contaxから1980年台に発売された、Carl Zeiss T* Planar 85mm F1.4です。
ちょうどこのレンズは前期型(西ドイツ製)と後期型(日本製)に分けられ、それぞれ細かい仕様が異なります。
以下の画像はF2.8まで絞ったところですが、AE前期型の絞り羽根は円形絞りではないため、風車型になっています。
これに対してMM後期型は、F2.8でも円形絞りに近い(完全円形ではない)形状をしています。
良くみると、コーティングもブルー系からイエロー系に変わっているように見えますね。
両者を比較したところ。
これをF4まで絞り込むと、どちらも円形に近い状態になります。
つまり、両者の勝負は絞り始めてからの、F2、F2.8での違いということになります。
それでは、実写へと参りましょう。
違いが非常にわかりづらいところですが、MM後期型の方が、ボケがわずかにとろけるように綺麗に見えます。
これも非常に違いがわかりにくいところですが、背景のボケの部分を良く見ると、MM後期型の方が、綺麗にボケているように見えます。
特に背景で右上に伸びている1本の草のボケ方が、AE前期型では微妙に角角しているのがわかります。
最後に一番違いがわかりやすいボケ+点光源だけの描写で比較します。
画面左上の点光源を見ると、見事に絞りの形状が反映されています。
ボケだけにしてみるとやはりMM後期型の方が美しいことがわかります。
結果、昨今のレンズのほとんどが「円形絞り」を採用しているのは、こういったアウトフォーカスのボケ部分で違いが出るからだということがわかりました。
今回のテスト環境を、補足します。
カメラ:SONY NEX-7
アダプター:VILTROX EF-E Mount Focal Reduce Adapter
アダプター:YC-EF アダプター(輸入品)
VILTROXのレデュースアダプターを使用することで、フルサイズ機とほぼ同じ画角にしています。
このアダプターはCanon EFレンズのAFも出来てなかなか面白いので、また改めて取り上げたいと思います。
アダプターの仕様上、EXIFに変な数値が記録されていますが、実際のデータをご覧になる場合は、以下からどうぞ。
Contax Planar T* 85mm F1.4 | Flickr – Photo Sharing!
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