絞り羽根の形状で、ボケは変わるのか実験!

現在、色々なレンズのカタログ欄を見ると、

絞り:「円形絞り」

という記載をよく見かけます。

これは、レンズの開放値から絞り始めた時に、その羽根の形状がどうなるかを表している訳ですが、厳密に言えば、「円形絞り」以外の絞り羽根というのは、最近は非常に少なくなってきています。

このあたりの解説は円形絞りの元祖であるSONY(Minolta)のサイトが詳しいです。

αレンズのテクノロジー & レンズに関する基礎知識 | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー

 

そこで、今回は絞り羽根の形状が違う2本のレンズを使って、ボケの形がどう変わっていくのかを実験したいと思います。

今回実験で使用するのは、Contaxから1980年台に発売された、Carl Zeiss T* Planar 85mm F1.4です。

ちょうどこのレンズは前期型(西ドイツ製)と後期型(日本製)に分けられ、それぞれ細かい仕様が異なります。

以下の画像はF2.8まで絞ったところですが、AE前期型の絞り羽根は円形絞りではないため、風車型になっています。

_DSC0611_AE
Contax Planar T* 85mm F1.4 AE

これに対してMM後期型は、F2.8でも円形絞りに近い(完全円形ではない)形状をしています。

良くみると、コーティングもブルー系からイエロー系に変わっているように見えますね。

_DSC0612_MM
Contax Planar T* 85mm F1.4 MM

 

両者を比較したところ。

これをF4まで絞り込むと、どちらも円形に近い状態になります。

つまり、両者の勝負は絞り始めてからの、F2、F2.8での違いということになります。

_DSC0617
左:Contax Planar T* 85mm F1.4 AE 右:Contax Planar T* 85mm F1.4 MM

 

それでは、実写へと参りましょう。

_DSC7959_AE
AE前期型の描写。最短撮影距離付近でF2.8で撮影。
_DSC7957_MM
MM後期型の描写。最短撮影距離付近でF2.8で撮影。

違いが非常にわかりづらいところですが、MM後期型の方が、ボケがわずかにとろけるように綺麗に見えます。

 

_DSC7967_AE
AE前期型の描写。最短撮影距離付近でF2.8で撮影。
_DSC7966_MM
MM後期型の描写。最短撮影距離付近でF2.8で撮影。

これも非常に違いがわかりにくいところですが、背景のボケの部分を良く見ると、MM後期型の方が、綺麗にボケているように見えます。

特に背景で右上に伸びている1本の草のボケ方が、AE前期型では微妙に角角しているのがわかります。

 

最後に一番違いがわかりやすいボケ+点光源だけの描写で比較します。

_DSC7963_AE
AE前期型の描写。最短撮影距離付近でF2.8で撮影。
_DSC7965_MM
MM後期型の描写。最短撮影距離付近でF2.8で撮影。

画面左上の点光源を見ると、見事に絞りの形状が反映されています。

ボケだけにしてみるとやはりMM後期型の方が美しいことがわかります。

 

結果、昨今のレンズのほとんどが「円形絞り」を採用しているのは、こういったアウトフォーカスのボケ部分で違いが出るからだということがわかりました。

 

今回のテスト環境を、補足します。

カメラ:SONY NEX-7

アダプター:VILTROX EF-E Mount  Focal Reduce Adapter

アダプター:YC-EF アダプター(輸入品)

_DSC0602

VILTROXのレデュースアダプターを使用することで、フルサイズ機とほぼ同じ画角にしています。

このアダプターはCanon EFレンズのAFも出来てなかなか面白いので、また改めて取り上げたいと思います。

アダプターの仕様上、EXIFに変な数値が記録されていますが、実際のデータをご覧になる場合は、以下からどうぞ。

Contax Planar T* 85mm F1.4 | Flickr – Photo Sharing!

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